会長挨拶
「失ったものを数えるな。残されたものを最大限に生かせ」パラリンピックの父といわれるルードヴィッヒ・グッドマン博士の言葉と言われています。リハビリテーションに携わる我々が学校で最初に学ぶこの言葉は、感染症の流行によって新しい日常が定着しつつあるWITHコロナ社会にも通じる思想ではないでしょうか。
1972年に設立された大分県理学療法士協会は、県内在住のリハビリテーション専門職である理学療法士、約1800人で構成する学術・職能団体です。平均年齢は34歳と非常に若い組織で、その活躍の場は医療の枠にとどまらず、子供からお年寄りにいたるまで、保健・予防、健康増進、介護、福祉、産業などあらゆる分野に及んでいます。
当会はこの10年間、大分県が取り組む地域包括ケアシステムの構築に微力ながらも組織をあげて協力して参りました。市町村における地域ケア会議への助言者派遣や「めじろん元気アップ体操」を活用し、高齢者の通いの場を中心とした介護予防・フレイル対策など地域の様々な活動に多くの講師を派遣し「自立支援」に取り組んでいるところです。そして、当会は県民総ぐるみの健康づくりを支援する「健康寿命日本一おうえん企業」にも登録しており、最近は幅広い年齢層に対する予防・健康増進のため、産業理学療法、ウィメンズヘルスや学校保健領域に対してもヘルスプロモーション事業を展開しています。またスポーツトレーナー活動は30年以上の歴史があり、野球、サッカー、陸上、テニスなど各競技団体と連係し大会や練習に帯同し、選手のケアやテーピング、救急対応やトレーニング指導などを行ってきました。近年は障がい者スポーツをサポートできる人材育成に努めているところです。
この3年間、私たちの暮らしは以前よりも様々な制限・制約を受けています。高齢者や疾病のある方々の社会活動と外出機会の減少が危惧されている今こそフレイル予防が大切であると考えます。低下した筋力や可動域はワクチン接種では解決できません。適切な運動療法が健康寿命を延ばします。新型コロナウイルスの終息にはまだ月日がかかりそうですが、県民の皆様が生涯を通じて健康で活力あふれる人生を送れるよう当会は感染拡大防止と各種事業を両立しながら、これからも公益法人として力強く前進して参りたいと存じます。設立から半世紀の節目を迎えた当会の活動に一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2022年9月11日
大分県理学療法士協会
会長 市川泰朗